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# 哺乳類学会・野生動物保護学会合同大会
宇治田です。
 

9月17日〜20日に岐阜大学での上記大会に参加してきました。
宇治田の独断と偏見により、面白かった発表をまとめてみました。
約4名にとっては、見たことのある文章かと思いますが(笑)
内容はあれとまったく同じです。


・カワウの保護管理について

現在琵琶湖の竹生島のカワウが問題になっている。

コロニーを形成して繁殖活動を行うが、彼らは木の枝を折って巣を作る。カワウがあまりにも増えすぎて、島でコロニーを形成しているところでは深刻な問題になるほど木の枯死および土壌変性が起こっている。もちろん琵琶湖の漁業への影響は言うまでもない。

そこでエアライフルを導入した。

エアライフルの利点は、まず経済的な面で、火薬が必要ないという利点がある。火薬は管理するのも面倒らしい。一番の利点は、発砲音が極めて小さいこと。なんと、撃って外してもカワウは気づかず、逃げないそうだ。これにより一つのコロニー内のカワウを全滅させることが可能になり、捕獲効率がはるかによくなった。欠点は、まず射程距離が短い。とはいっても10メートル程度ならカワウの目を正確に撃ち抜くことも可能だそうだ。しかしその10倍の距離でも同じことが言える普通のライフルとは雲泥の差だ。そして、空気圧が下がったら空気入れで空気を入れなければならない。これがかなり疲れるらしい。最後に、銃自体が高い。かなりいいライフルと安い空気銃が同じくらいだそうだ。

エアライフルが効果的なことが実証された上で、地元の猟師さんたちに協力を要請した。しかし、これは無駄に終わった。なぜなら彼らはカワウの生態を知らない。現場に行ってもカワウのコロニーを探すのに時間がかかり、カワウの習性を知らないがために一羽撃っただけで逃げられたりした。この方法は狩猟のプロになるだけでなく、カワウのプロにならなければならない。

 

・エコツーリズムについて

まず、エコツーリズムとは、開発なしで外貨を獲得する手段として非常に重要である。また、それにより地域も活性化する。例えば、一頭のライオンを狩猟により殺し、皮や肉などを売ったときの経済効果は観光による経済効果の100分の1にも満たないそうだ。

野生生物保護的な観点から見ると、生息地にヒトが侵入し、撹乱されるというマイナスの面もあるが、観光客に野生動物への興味を引き出し、新たな理解を喚起させたり、野生生物保護への協力、貢献を引き出せたりとプラスの面もかなりある。観光客が全員野生生物保護に関心を持ったならば、それは大きな財産になるだろう。そのためにはガイドが重要な役割を果たすことになる。エコツーリズムは新しい野生生物保護の分野である。

 

・シャープシューティング法について

シカの食害が日本全国で問題になっている。シカは雑草だけでなく、木の樹皮を食べる。問題になるのは天然林の食害で、特に冬になると天然林の樹皮以外にほとんど食べるものがなくなるため、甚大な被害を受ける。

普通の猟だと一つの群れの中のシカを一頭獲れるだけで、他のシカは逃げてしまう。さらに逃げたシカは「銃が怖い」ということを学習してしまい、可猟区を避けるようになってしまう。このようなシカをsmart deerという。Smart deerを出さないために有効な方法として考えられたのがシャープシューティング法である。シャープシューティング法は銃を知る個体はすべて獲ることを目的としている。具体的には、毎日同じ人が同じ時間に同じ量の餌を直線的に一定量ずつ置いていき、しばらくそれを続けると一つの山に一頭ずつ並ぶようになる。そのときに端から順番にサイレンサー(消音機)つきの銃で頭(中枢)を狙って撃っていく。すると、最初の一頭が撃たれても、他のシカは倒れたことに驚き、少し逃げるが、すぐに立ち止まる。そこを狙ってまた撃つ。これを繰り返す。映像で見たのは三頭だったが、三頭とも獲れていた。しかし数には限界があるように思えた。

 

・外来種探査犬について

一般的には、外来種をある地域から完全に駆除するのは非常に困難である。なぜなら密度が小さくなるにつれて罠にかかりにくくなり、猟師も遭遇しにくくなり、人に対する警戒心が強くなるからだ。その「とどめの一撃」として有効であると思われるのが外来種探査犬である。探査犬は外来種の巣を探し出す。その付近に集中的に罠を仕掛ければ捕獲確率が格段に上がる。現在は本研究者が養成しているアライグマ探査犬とマングース探査犬がフィールドで活躍している。

 

・ヘアトラップ法によるクマの個体数調査

野生動物の保護管理において個体数を知ることは非常に重要である。特にクマは単独で行動するだけでなく、オスは広範囲を移動し、メスはあまり移動しないので、個体数調査がとても難しい。

ヘアトラップ法は有刺鉄線で一定区間を碁盤のマス状に区切る。そして数日後、鉄線に絡まったクマの毛を回収し、毛根まで残っている毛を優先的に遺伝解析する。これにより個体数が決定すると考えられる。実際、この方法を導入することで、新たな固体が確認された例が数多くある。

 

・ライオンの排泄物抽出物によるシカのレールキル防止

レールキルとは電車と野生動物の衝突死亡事故のことである。ちなみにロードキルは車との事故である。

シカのレールキルは電車の破損や乗客の怪我、レール付近にシカの死体を食べにきた希少種の猛禽類の二次災害的なレールキルなどが問題となっている。

ある実験で、シカがライオンの排泄物に対して忌避反応を示すことがわかった。そこでライオンの排泄物の抽出液を100倍に薄めたものを線路沿いに散布した。すると、散布したところでのレールキルはゼロになった。しかしまだ、抽出液が雨に流される、シカの生息地が分断されるなど問題はいくつかある。

 

*感想*
このほかにも様々な発表がありましたが、あまり真新しさがなかった、もしくは興味がなかった、もしくは違う教室での発表だったので割愛します!
普段の授業では、まあ、不真面目なほうでして、大半の授業は睡眠時間にあててます。
そして学会は、言ってしまえば普段の授業みたいなものです。
しかし、今回は自分の興味のある分野ばかりであるだけでなく、部活の時間やかなりの費用を犠牲にしているという意識もあり、一睡も・・・ちょっとしか寝ませんでした(笑)
本大会のいいところは、あまり難しい内容のものがなく、素人でも大体理解できるところだと思います。
たしかに最初から最後まで、そのあとの質問とその答えも含めて、何言ってるのかさっぱりわからない発表もありました。
それに自分がたまたまわかりやすい発表しか聞かなかったかもしれないです。
しかし、自分は他の学会ではこれほど理解はできなかったと思います。
そして、講演後の飲み会もとても面白かったです。
自分の場合は、野生動物の分野でかなり顔が利く先輩と一緒に行ったので、その先輩についていくだけで飲み会に参加できました。
飲み会の目的は、酔うことでも吐くことでもなく(笑)
先生方としゃべることです。
しかも、学生といったら修士課程、博士課程の人がほとんどです。
「学部生」であるだけで注目してもらえます。
「学部の一年生」なんて尚更です。
飲み代もほぼゼロです。
もはや得でしかないです。
学会にはいろんな研究をしてる、いろんな先生がきてます。
そこからいろんな意見が得られます。
それだけでも十分よい経験になると思います。

以上です。質問などある人はコメントなり宇治田に直接聞くなりしてください。

| comments(0) | - | 22:22 | category: 宇治田 |
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